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亜鉛 −以下の文章は特定の製品や商品とは関係なくかかれています。−
「亜鉛とその歴史」
 人間の体に必要(必須栄養素)な金属の一つ。
インスリンやある種の酸素の成分として重要。
体重70Kgの男性体内の総亜鉛量は、1.4〜2.3g。皮膚, 毛髪、骨などに多い。
亜鉛が欠乏すると成長および生殖機能の仰制、停止のほか皮膚や骨格にも異常がおこる。
一日当たり、6mgが所容量であるという報告がある。(思春期女性について)。
母乳に比べ牛乳中の含量がすくないので、人工栄養のときは欠乏に注意する必要がある。
{亜鉛中毒}急性中毒は400〜500mgZn/kg体重。悪心、嘔吐、下痢などの症状を示す。

もちろん、金属ですから、工業的にも利用されており、他の金属と合わせて
合金として使用されたりもします。
単体の亜鉛が発見されたのは中世の頃だと言われています。
英語名で「ジンク」と呼ばれるのは、亜鉛を含む鉱石の名称から付けられたからだと言われます。
純粋な亜鉛は青みをおびた白く輝く重金属で、常温ではもろく、
100〜150℃に熱すると展延性を示しますから、薄版にすることもできます。
この様に加工しやすい点から工業製品の原料としても使われている金属です。
 
 亜鉛が動物の栄養上不可欠な元素であることを初めて発見したのは、
1934年にアメリカの栄養学者トッドらによる、ラットを使った欠乏実験によるものでした。
ラットに亜鉛を含まない飼料を与えて、その欠乏症を見る物でした。
1940年には、炭酸脱水酵素に亜鉛が含まれていることが証明され、
必須元素であることが確実となりました。
しかし、人で亜鉛欠乏症が証明されたのは1963年で、イラン・エジプトなどの中近東で
貧血、発育不全、性腺機能低下、肝脾腫、精神的な鈍麻などを示した患者の内、
貧血は鉄の投与で治ったが、他の症状は改善せず、血清亜鉛値が著しく低いことから、
亜鉛を投与したところ著名な改善がみられたことによります。
中近東でこの様な患者が多く見られた理由として、
宗教的な理由から動物性タンパクを摂らなかった事と、
この地方の主食であるパンに亜鉛の吸収を妨げる働きをするフィチン酸(リン酸塩)が
含まれていたことが原因と考えられます。
植物中の亜鉛は動物性食品中の物と比べると、人体での利用率(吸収率)が悪い事が知られています。
また、栄養学的に亜鉛の欠乏状態が証明されたのは先進国で、アメリカを中心とする国で、
ミネラルへの関心と毛髪分析のブームによるもので、
研究対象の子供のグループの毛髪中の亜鉛が低値を示し、共通して食欲不振、味覚や臭覚の減退がみられ、
これらの症状が亜鉛の投与で改善されたことによります。
また、小児の致命的疾患とされていた腸性肢端皮膚炎に対し、亜鉛投与により著名な改善を見せた事は
亜鉛欠乏症の歴史上、最も有名な事です。
腸管での亜鉛キャリアー蛋白の先天性欠損症がこの病気の原因であることが判明しています。

「亜鉛の作用」
 生体内で起こるあらゆる反応には、触媒として酸素が関与しています。
近年その構造や作用の研究が進む過程で、
酸素の生成に微量ミネラルが決定的役割を果たすことが明らかになってきました。 
亜鉛も、そのような場面で改めて脚光を浴びることとなったミネラルの一つです。
従来、亜鉛が毛髪、肝臓、腎臓、など新陳代謝の盛んな細胞に多く含まれ、
成長期の子供に不足すると発育が阻害されることなどが知られていましたが、
いずれもタンパク質の代謝に関わっており、それをつかさどる多種類の酸素に
亜鉛が不可欠なことが解明されました。
例えば,食べ物の味を感じ取る、味蕾細胞は、絶えず生まれ変わる活発な細胞ですが、
それゆえ亜鉛不足の影響を受けやすく、欠乏すると味覚障害を招きます。
あるいは、睾丸や前立腺の亜鉛濃度が高いのは精子や精液の産生に亜鉛が必要なためで、
不足すれば生機能障害を招きます。
また、亜鉛がケガの治癒に有効に作用すると言う報告も多くあります。
火傷や手術の後などでは尿中に大量の亜鉛が排泄されるため亜鉛欠乏になり、
傷の治りが悪くなるので、亜鉛を毎日投与させ、傷の治癒を早めさせます。
下の図は亜鉛を与えた場合と与えなかった場合の傷口の大きさの変化を表した物ですが、
15日以降から両者の違いがはっきり出ていることが分かります。

ケガをした時に傷口に塗る軟膏などに亜鉛が入っているのはこうした理由からだと言えます。
亜鉛は血管壁の構成成分であるコラーゲンを作るのにも必要で、そのために傷の修復を
早める様な作用があるのではないかと考えられています。
また、膵臓でのインシュリン産生にも関与しており、不足すれば糖尿病の引き金となり、
糖尿病性の壊疽の悪化にも繋がります。
免疫をつかさどるリンパ球やT細胞の機能を高めるのにも関与しており、
不足すれば感染症にかかりやすくなる事も分かっています。
一部の食品添加物や降圧剤は、体内の亜鉛の働きを奪って欠乏症を引き起こす事があり、
食生活が不十分な人や食事制限中で不足しがちな人以外でも、
努めて意識的に摂取することが必要だと言えます。

「人体中の亜鉛の分布」
 成人の体内には1.4〜2.3gの亜鉛があり、その20%は皮膚に存在します。
また、精液中にきわめて高濃度の亜鉛が含まれており、性機能と亜鉛の密接な関係が分かります。
男女共、生殖器に多く含まれており、亜鉛欠乏症では生機能が障害されます。
実際に亜鉛欠乏症の実験動物の生殖器は雌雄とも発育が悪く、
繁殖力が失われる事が多くの実験で明らかにされています。
人間の例では、イランやエジプトなどの中近東付近で見られた亜鉛欠乏症の時には、
欠乏状態にある男女の生機能不全症が報告されており、第二次性徴の発現が遅れていた事が分かっています。
肝臓や腎臓などの臓器中にも亜鉛が、かなり存在しますが、たんぱく質と強く結合しているため、
臓器内での含有量はあまり変化しません。
したがって、食事による亜鉛の摂取量が増減しても血液を除いてはあまり組織中の亜鉛の量には変化がありません。
ただし、人工ミルクで育てられている授乳期の赤ちゃんは、亜鉛摂取量に気を配る必要があります。
日本の育児用粉乳の亜鉛含有量は国連の基準値の3分の1以下しか含まれておらず、
人工乳の亜鉛添加が検討されています。
逆に母乳中にはきわめて多くの亜鉛が含まれており、実際に両者を引用している乳児を比べると
発育にはっきりと差が出ている事が報告されています。

「食品中の亜鉛」
 一般に亜鉛は広く食品中に分布しており、魚類・肉類・穀類に多く、野菜や果物には少ない様です。
特に多く含む物にお茶(煎茶葉)があり、100g中に134mgも含んでいます。
亜鉛の摂取源の比較でおもしろい物があります。
それは、都会と地方に住む人の亜鉛の摂取源として、都会の人はお茶やコーヒーなどの飲料からの摂取量が多く、
地方の人は穀物のみが大きな摂取源となっている、と言う報告や大学生の男女別の比較では、
女子学生の摂取源として飲料が大きな割合を占めているのに対し、男子学生は肉や穀物などからが多いと言う報告です。

食品中の亜鉛含有量(mg/100g)
食品名
亜鉛量

食品名

亜鉛量

煎茶(葉)
煎茶(浸出液)
牡蠣
ココア
ゴマ
チーズ
牛肉
ハマグリ
レバー(牛)
大豆
玄米
白米
134
6.4
79
22
14
6.4
5.0
4.4
4.3
4.3
3.0
1.6

鶏卵
いわし
ほうれんそう
まぐろ
豚肉
コーヒー(豆)
コーヒー(浸出液)
ラーメン
鶏肉
牛乳
だいこん
じゃがいも
2.9
2.1
2.0
1.5
1.3
1.1
0.08
1.0
0.6
0.4
0.3
0.2



「亜鉛の働きのまとめ」


「一日の必要摂取量」
 日本では、亜鉛の所要量は定められていません。
一日に成人の尿や大便、皮膚、毛髪、その他から失われる亜鉛の量は、
平均10mgくらいです。
したがって、一日10mg程摂れば良いと考えられます。
ちなみに、アメリカでは成人男女共に15mg、カナダでは成人男子が10mg、女子が9mg、
イタリアの成人男女共15mgなどとなっており、いずれも通常の食生活で充分に摂取できる量です。